認知症ケア

認知症ケア

「のばな」では、医療・介護の専門家として、高齢者並びに認知症の方々が、安心して生活できる社会を目指し、認知症ケアに特化した取り組みを進めております。
日本では、団塊の世代が高齢者と呼ばれる65歳以上の年齢となり、高齢者人口は3000万人を超え日々高齢化が進んでいます。

高齢者の4人に一人が認知症
もしくはその予備軍

厚生労働省の推計(2012年)では、認知症の高齢者は約462万人、認知症の予備軍とされる「軽度認知障害(MCI)」の高齢者は400万人に上り、合わせると860万人となり高齢者全体の4人に1人となる計算です。

さらには、2025年には認知症高齢者の数は700万人になり、わずかこの十数年ほどで1.5倍にまで増加すると予想されています。

また、認知症やその疑いがある方が徘徊などで行方不明になった人の数が年間1万人を超え、死亡もしくは行方不明のまま見つかっていない高齢者の数も500人を超えています。

広がりを見せる認知症の取り組み

そのような状況の中、認知症に対する取り組みが急速に進められてきました。自治体や各地域団体での活動を始め、認知症の方が日本縦断タスキリレーを行う『RUN伴』や、全日本認知症ソフトボール大会『Dシリーズ』、地域を散策しながら交流や情報交換をする『まあるい会』、家族の悩みが共有できる『家族の会』や『認知症カフェ』なども全国各地で広がりを見せています。

点と点を結んで線にしていく

もちろん、医療そして介護業界においても様々な認知症に関する研究や取り組みが進められていますが、それらはまだまだ十分なものではなく、今後さらに進化していく必要があります。

また、それぞれの取り組みはこれまで独自に行われてきており、それらが点と点ではなく、線となってつながり、地域社会全体が認知症の方々にとって安心して暮らせるようにしていくことが課題となっています。

のばなだからこそ

医療そして介護の分野において双方の専門的な知識を持ち合わせ、認知症に関する取り組みを率先してやってきた「のばな」だからこそ、それらの知識や経験を生かし、医療・介護・地域社会の連携を深め、その橋渡しをするという点と点を結ぶ重要な役割を担っていくべきだと考え活動しております。

認知症ケアについて

共想法

「のばな」では現在、認知症研究の専門家である千葉大学の大武美保子准教授が考案された『共想法』を取り入れております。
テーマを決めて写真などの素材と共に話題を持ち寄り、話し手と聞き手が交互に交代しながら、会話する手法です。テーマは、好きなものごと、健康、食べ物、笑い、失敗談など、多岐にわたります。認知症予防に有効とされる認知活動(体験記憶、注意分割、計画)を支援することを通じ、認知症予防回復につなげることを目指します。

http://www.fonobono.org/(ほのぼの研究所)

コグニサイズ

国立長寿医療研究センターが開発した運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた認知症予防を目的としたエクササイズです。
体を動かしながら頭を働かせる計算やしりとりなどを同時に行うことで、記憶力の向上や、脳内の記憶と学習能力をつかさどる海馬が萎縮するのを防ぎ、認知障害の改善が期待できます。

http://www.ncgg.go.jp/cgss/department/cre/cognicise.html
(国立長寿医療研究センター)

新オレンジプランと認知症ケアプラン

「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」に代わり、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」が2015年1月に発表されました。認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すという考え方のもと、以下の7つの柱が掲げられています。

  1. 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
  2. 認知症の様態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
  3. 若年性認知症施策の強化
  4. 認知症の人の介護者への支援
  5. 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
  6. 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及推進
  7. 認知症の人やその家族の視点の重視

認知症ケアには、「予防・発症・中度・重度・看とり」のステージがあり、それぞれの段階において、医療そして介護従事者、家族を含めた地域社会との間での切れ目のないケアをつなぐこと(ケアパス)が重要となってきます。

予防

「認知症施策推進5カ年計画(オレンジプラン)」に代わり、「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~(新オレンジプラン)」が2015年1月に発表されました。認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指すという考え方のもと、以下の7つの柱が掲げられています。

発症

発症してからは出来ることを強化する(訪問看護・リハビリ)と共に、出来ないことを補い(訪問介護)、さらに出来ないことを増やさない為にも医療と介護の連携が必要となります。例えば、右肩が上がりづらくなってきた高齢者から、毎日の料理が困難になってきた為、介護サービスの依頼があったとします。この場合、訪問して食事支援を行うことは簡単です。しかし、この高齢者にとってより重要なことは食事を作ってもらうことなのでしょうか。そうではなく、支援と同時に、右肩が上がるようにリハビリを行い、また料理が出来るようになることが自律へとつながり本当に求められることではないでしょうか。
右肩が上がらないという情報が共有されず、それぞれがそれぞれの仕事をこなすだけでは食事支援を行うだけで終わってしまい、この方は今後自分で料理が出来る状態に戻ることはないかもしれません。ですが、介護にあたる様々な立場の人々が、目的や情報、状態、悩みなどを共有し、連携することで総合的に介護をすることが可能となります。

中度

さらに症状が進み中度になってくるとご家族の負担が増えてきます。また、これ以上症状が進まないように重症化予防を行うことが課題となってきます。
ご家族だけでの介護にはやはり限界がありますし、長期に渡って介護をしていくには休息も必要です。デイサービスなどの介護サービスを活用したり、同じ悩みを持つご家族様との情報共有や交流を持ったりすることで少しでも負担を軽減し、知識や情報を集め介護力を養っていくことも重要です。

重度

そこからさらに症状が進んでしまい在宅ケアが難しい状態となった場合は、入居施設をご活用いただき、専門的なケアをお受けいただくことも選択肢となってきます。

一番必要なことは地域力の向上

「のばな」では、その全てのステージにおけるサービスを提供しており、切れ目のない介護・看護サービスを提供しております。さらには、社会福祉協議会ボランティアセンターと連携し、各地域において共想法やコグニサイズを広めると同時に、認知症に関する知識を深め、適切に対応できるように認知症に対する地域力を養っていく活動をしております。
また、『見える事例検討会』において医療・介護の関係者が集まり、それぞれの活動における成功事例を共有し、各々がそれぞれの持ち場で実践し、さらにそれをまた共有することで、社会の中で我々が何をすべきなのかを考え学んでいます。
これらの活動が、高齢者が住む部屋に始まり、住む家、ご近所、地域というそれぞれの範囲においてしっかりとしたコミュニティが形成され、それによって地域力が高まり、より多くの目で高齢者を見守ることで、万が一徘徊しても大事に至らずに無事家に帰ってこられる、そのような社会を構築するきっかけになるよう頑張ってまいります。